オリーブの実とは?栄養・栽培・収穫から加工まで小豆島の農園が解説

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小豆島の実を搾ったオイルは、この3本から

小豆島・滝宮の自社農園で11月に手摘み。傷のない実だけを選んでコールドプレス

オリーブの実の基本知識

オリーブの実の基本知識

オリーブの実とは?

地中海沿岸が原産のオリーブは、樹齢100年以上にもなる長寿の樹です。秋から初冬にかけて熟す楕円形の果実が「オリーブの実」で、植物学上は果物(核果)に分類されます。

色はグリーンから紫、そして黒へと変化していきます。これは品種の違いではなく熟度の違いです。同じ木の実でも、摘む時期によって色も風味も変わります。

日本では小豆島や和歌山など、温暖な地域で栽培されています。

生では食べられません

意外に思われるかもしれませんが、オリーブの実は摘みたてのままでは食べられません。

「オレウロペイン」という成分による強い苦味があり、口に入れるとキシキシした渋みが残ります。グリーンでもブラックでも同じで、完熟した黒い実は糖度が上がるぶんややマイルドになりますが、それでも苦味は残ります。

そのため、オリーブの実は「苦味を抜いて漬ける」か「搾ってオイルにする」かのどちらかで食べるのが一般的です。私たちが作っているのは後者です。

オリーブの実に含まれる栄養素

オリーブの実に含まれる栄養素

オリーブの実には、脂質を中心にいくつかの成分が含まれています。よく話題になるものを整理します。

成分どんな成分か
オレイン酸
(一価不飽和脂肪酸)
オリーブの脂質の主成分。脂肪酸の約70〜80%を占めます
ビタミンE脂溶性ビタミンのひとつ。オリーブオイルにも含まれます
ポリフェノール
(ヒドロキシチロソール等)
実の苦味のもとになる成分。熟すほど減っていきます
食物繊維実そのものに含まれます。搾ったオイルにはほとんど残りません
β-カロテン緑黄色野菜にも多く含まれる色素成分

これらの成分について研究報告はありますが、食品として食べたときに特定の働きを保証するものではありません。「オリーブの実を食べれば体のどこかが良くなる」という受け取り方はしないでください。

実で摂るか、オイルで摂るか

ひとつ知っておくと役に立つのが、実とオイルでは含まれるものが違うという点です。

  • 食物繊維は実にしかありません。搾油の過程で果肉と分かれるため、オイルにはほぼ残りません
  • ポリフェノールは搾り方で変わります。加熱せずに搾るコールドプレスのほうが多く残ります
  • 塩分は加工品に入ります。塩漬けやピクルスは塩分が加わるので、量には気をつけてください

実をそのまま食べる機会は日本ではあまり多くないと思います。日常的に取り入れやすいのは、実を搾ったオリーブオイルのほうです。

小豆島の自社農園で、どう育てているか

小豆島の自社農園で、どう育てているか

日本のオリーブは小豆島から始まりました

日本でオリーブの栽培が始まったのは明治41年(1908年)のことです。国が香川・鹿児島・三重の3県で試作を行いました。

結果として根付いたのは小豆島だけでした。年間平均気温15〜20℃、降水量が比較的少なく、瀬戸内特有の日照時間の長さ――地中海に近い条件が揃っていたためです。

私たち小豆島オリーブ株式会社は、その小豆島で1950年(昭和25年)に創業しました。旧社名は「日本オリーブ産業」です。

滝宮の農園:約2ヘクタール・6品種

自社農園は小豆島の滝宮地区に約2ヘクタール(6,000坪)。約6品種を育てています。

品種を複数持っているのには理由があります。オリーブは自家不結実性――同じ品種だけでは実がつきにくい性質があり、受粉のために別品種が必要です。加えて、食用と化粧用で使う品種を分けているのは国内では珍しい取り組みだと思います。求める成分と風味が違うためです。

栽培でいちばん気を遣うのは水はけです。オリーブは乾燥気味の土を好むので、粘土質や長雨で滞水する場所では根腐れを起こします。傾斜地を活かし、排水性を保つようにしています。

病害虫ではオリーブアナアキゾウムシが最大の敵です。幹に食い入って木を枯らすので、樹皮を見て食害穴を探し、見つけたら物理的に取り除きます。地道な作業ですが、これを怠ると木そのものを失います。

家庭でオリーブを育てるには

ご自宅で育てたい方向けに、押さえておくとよい点をまとめます。

  • 苗は2品種以上。前述のとおり1本では実がつきにくいので、違う品種を並べて植えます
  • 2〜3年生以上の苗を選ぶと失敗しにくいです。幹が鉛筆より太いものが目安
  • 植え付けは3〜4月または10〜11月。深植えは厳禁で、根鉢の上面と地表を揃えます
  • 水はけ最優先。赤玉土7+腐葉土3を基本に、地植えなら盛り土をして高植えに
  • 水やりは控えめ。地植えは根付けば基本は雨任せ、鉢植えは表土が乾いてから
  • 剪定は2〜3月。実は前年に伸びた枝につくので、切りすぎると翌年実がつきません
  • 鉢植えでも育ちます。10号以上の鉢で、南向きの風通しのよい場所に

冬の最低気温が−5℃を下回らない地域なら、屋外で越冬できます。寒冷地では冬だけ室内に取り込んでください。

オリーブの実の収穫時期と方法

オリーブの実の収穫時期と方法

収穫に適した時期

収穫の時期は「何に使うか」で変わります。同じ木でも、摘む時期を変えると別のものになります。

  • テーブルオリーブ(塩漬け・ピクルス用)
    グリーンから淡い黄色に変わる9〜10月。歯ざわりがよく、渋みも抜けやすい時期です
  • オイル用・香り重視
    半熟のグリーンが多い10月下旬〜11月中旬。ポリフェノールが多く残り、青い香りと辛味が出ます
  • オイル用・搾油量重視
    黒く完熟する11月下旬〜12月上旬。実あたりの油の量は増えますが、香りは穏やかになります

当社の収穫は11月、12月出荷です。香りとポリフェノールを優先するため、完熟を待たずに摘んでいます。

見極めは色だけではありません。指で軽く押して「ぷにっ」とした弾力があり、ヘタ(果梗)が茶色くなり始めたら収穫のサインです。

収穫方法の違い

方法特徴メリットデメリット
手摘み指先で一粒ずつもぎ取る実に傷がつかず品質が保てる人手と時間がかかる
コーム収穫熊手状の櫛で枝をとかしネットへ落とす手摘みの3〜4倍の速さ。家庭向き軽い擦り傷がつく
振動ハーベスター枝元を振動させ一気にネットへ広い面積を短時間で機械が高価。木への負担も大きい

私たちが手摘みにこだわる理由

当社は一粒ずつの手摘みです。効率だけを考えれば機械のほうが速いのですが、それでも手で摘んでいます。

理由は単純で、傷ついた実からは味が落ちるからです。オリーブの実は打撲を受けると、その部分から酸化が始まります。酸化した実が混ざると、搾ったオイルの酸度が上がり、香りも濁ります。

摘んだあとも傷や虫食いのある実を選別して外し、傷のない実だけを搾油に回します。手摘みと選別――この2段階が、当社のオイルの品質のほとんどを決めています。

家庭で収穫する場合も、同じ考え方が使えます。

  • 朝のうちに摘む:実の温度が低いうちのほうが風味が保てます
  • カゴの底にタオルを敷く:落下の衝撃による打撲を防ぎます
  • 摘んだら早めに加工する:当日中、遅くとも翌日には下処理へ

手摘みの実から搾ったオイル

手摘みエキストラバージンオイル 45.5g

11月に一粒ずつ手摘みし、傷のない実だけを選んでコールドプレス。
まずは小さいサイズで、香りを確かめてみてください。

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オリーブの実の加工方法

オリーブの実の加工方法

オリーブオイルができるまで

実を搾ってオイルにする工程を、当社の作業に沿って説明します。

  1. 洗浄・選別
    収穫したその日に洗い、傷んだ実や虫食いを取り除きます。ここで外す量は決して少なくありません
  2. 破砕(クラッシング)
    果皮・果肉・種ごとペースト状に砕きます
  3. 撹拌(マラキシング)
    ペーストをゆっくり混ぜ、細かな油滴を合体させます。温度を上げると搾れる量は増えますが、香りが飛びます
  4. 分離
    遠心分離でオイル・水分・果肉カスを分けます
  5. 瓶詰め
    遮光瓶に充填し、冷暗所で保管します

この工程で分かれ道になるのが3の温度です。加熱すれば歩留まりは上がりますが、香り成分は熱に弱いので飛んでしまいます。コールドプレス(低温圧搾)は、量より香りを取る作り方です。

当社は栽培・収穫・搾油・瓶詰めのすべてを小豆島で完結させています。収穫から搾油までの時間が短いことが、国内産の一番の強みです。

ピクルスや塩漬けの作り方

実そのものを食べたい場合は、まず苦味を抜く必要があります。

方法所要日数味わいポイント
ソーダ灰法7〜10日まろやか食品添加物グレードの炭酸ナトリウム3%水溶液に浸し、2日ごとに真水を交換
塩水法30〜40日しっかりした塩味初日は10%食塩水。毎週1%ずつ減塩していく

基本のハーブピクルス(500mL瓶1本分)

材料:苦味抜き済みのオリーブの実 200g / 塩 5g / 白ワインビネガー 100mL / 水 150mL / ローリエ1枚 / ローズマリー1枝 / にんにく1片 / 輪切り唐辛子 少々

  1. 瓶を5分煮沸し、自然乾燥させます
  2. ビネガー・水・塩を沸かして冷まします
  3. オリーブとハーブを瓶に詰め、2を注いで冷蔵で72時間おきます

苦味抜きから始めると時間がかかるので、まずは市販の瓶詰めを使って漬け込みだけ試してみるのも手です。

オリーブの実を使ったレシピ

オリーブの実を使ったレシピ

市販の瓶詰めオリーブを使って作れる、定番の2品です。どちらも仕上げにエキストラバージンオリーブオイルを使います。

ギリシャ風サラダ

材料(2人分):オリーブの実(グリーン&ブラック)20粒 / ベビーリーフ ひとつかみ / きゅうり 1/2本 / パプリカ(赤・黄)各1/4個 / フェタチーズ 40g / ミックスビーンズ 50g / 【ドレッシング】エキストラバージンオリーブオイル 大さじ2、レモン汁 小さじ2、はちみつ 小さじ1、塩・こしょう 各少々、乾燥オレガノ ひとつまみ

  1. ボウルにドレッシングの材料を入れ、とろりと乳化するまで混ぜます。
  2. ベビーリーフ以外の具材を先にドレッシングで和え、味をなじませます。
  3. 食べる直前にベビーリーフを合わせ、器に盛り付けます。

豆とチーズが入るので、これ一皿で食事になります。オリーブの塩気があるので、塩は控えめで十分です。

プッタネスカ風パスタ

材料(1人分):スパゲッティ 80g / オリーブの実(輪切り)8粒 / アンチョビフィレ 2枚 / にんにく 1片(みじん切り)/ ホールトマト缶 100g / ケイパー 小さじ1 / エキストラバージンオリーブオイル 大さじ1 / 刻みパセリ・粉チーズ 各適量

  1. スパゲッティを塩分1%の湯で茹でます。
  2. フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、弱火で香りを立ててからアンチョビを溶かします。
  3. ホールトマトを加えて強火で2分煮詰め、ケイパーとオリーブを加えます。
  4. 茹で上げたパスタをソースと和え、パセリと粉チーズを散らします。

常備している材料だけで5分ほどで作れます。アンチョビとオリーブの塩気で味が決まるので、こちらも塩は控えめに。

小豆島で70年、オリーブと向き合ってきました

小豆島・滝宮地区の自社オリーブ農園

ここまで書いてきた栽培・収穫・搾油の話は、すべて私たちが実際にやっていることです。1950年(昭和25年)の創業以来、小豆島でオリーブ一筋でやってきました。

滝宮の農園で約6品種を育て、11月に一粒ずつ手摘みし、傷のない実だけを選んでコールドプレスで搾る。栽培から搾油、瓶詰めまですべて小豆島で完結させています。輸入品と比べたときの一番の違いは、収穫から瓶詰めまでの時間の短さです。

2026年 OLIVE JAPAN® 国際オリーブコンテストで金賞・銀賞

2026年、世界最大級の国際品評会「OLIVE JAPAN® 国際オリーブコンテスト」で金賞・銀賞を受賞しました。

受賞したのは、栽培と搾油の技術を高めるために特別に仕立てた限定ブレンド(非売品)です。販売用の商品ではありませんが、この審査で認められた品質基準とブレンドの技術を、日々の製品づくりに反映しています。品種の組み合わせや摘む時期を変えながら試したものが評価されたという意味で、この記事で書いてきた栽培と収穫の積み重ねそのものの結果だと考えています。

日本・アメリカ・イタリア 3カ国で受賞

2026 OLIVE JAPAN® 金賞・銀賞
2016 OLIVE JAPAN 金賞
香川県知事賞(最高賞)
2016/2017 ロサンゼルス国際 銀賞
2019 ソレント ゴールデンマーメイド特別賞

オリーブの実に関するよくある質問

オリーブの実に関するよくある質問
オリーブの実は生で食べられますか?
食べられません。「オレウロペイン」という強い苦味成分が含まれているためです。グリーンでもブラックでも同じで、完熟した黒い実はややマイルドになりますが苦味は残ります。塩水やソーダ灰に浸して苦味を抜く必要があります。
グリーンとブラックは品種が違うのですか?
違いません。同じ実の熟度の差です。グリーンは若い実、ブラックは完熟した実で、熟すほど油の量が増え、ポリフェノールは減っていきます。
オリーブの実の保存方法は?
未開封の瓶・缶は直射日光を避けた冷暗所(15〜20℃)で製造から約1〜2年。開封後は実が液面下に沈むようにして冷蔵し、2〜3週間で食べ切ってください。下処理前の生の実は冷蔵で3〜4日が限度です。
開封後に液が減ってきたらどうすればいいですか?
オリーブオイルを継ぎ足して、実が空気に触れないようにしてください。空気に触れると酸化やカビの原因になります。
実とオリーブオイル、栄養は同じですか?
同じではありません。食物繊維は実にしかなく、搾油の過程で果肉と分かれるためオイルにはほとんど残りません。一方、塩漬けやピクルスには塩分が加わります。
オリーブの実の種は食べられますか?
種は硬いので取り除いて食べます。市販品には種を抜いた「種なし(ピット)」タイプもあり、料理に使うならそちらが手軽です。ご自宅で漬ける場合は、種つきのまま漬けたほうが果肉が崩れにくくなります。
収穫の時期はいつですか?
用途によって変わります。塩漬け用は9〜10月、オイル用は香り重視なら10月下旬〜11月中旬、搾油量重視なら11月下旬〜12月上旬です。当社は香りを優先して11月に収穫しています。
家庭でオリーブを育てられますか?
育てられます。冬の最低気温が−5℃を下回らない地域なら屋外で越冬できます。ただし1本では実がつきにくいので、違う品種を2本以上植えてください。水はけのよい土が必須です。
なぜ手摘みなのですか?機械では駄目ですか?
機械のほうが速いのですが、実に傷がつきます。傷ついた部分から酸化が始まり、混ざると搾ったオイルの酸度が上がって香りも濁ります。手摘みと、そのあとの選別が品質を決めています。
コールドプレスとは何ですか?
加熱せずに低温のまま搾る方法です。温度を上げると搾れる量は増えますが、香り成分は熱に弱いため飛んでしまいます。量より香りを取る作り方だとお考えください。

まとめ

オリーブの実について、育て方から加工まで見てきました。要点を整理します。

  • 生では食べられません。苦味を抜いて漬けるか、搾ってオイルにするかの2通りです
  • グリーンとブラックは熟度の差。品種の違いではありません
  • 日本で根付いたのは小豆島だけ。明治41年に3県で試作が行われた結果です
  • 収穫時期は用途で変える。塩漬けなら9〜10月、香りのよいオイルなら10月下旬〜11月中旬
  • 手摘みと選別が品質を決める。傷ついた実が混ざると酸度が上がります
  • 食物繊維は実に、香りはオイルに。実とオイルでは含まれるものが違います

実そのものを日常的に食べる機会は、日本ではまだ多くないかもしれません。小豆島の実がどんな味になるのかは、搾ったオイルで確かめていただけます。

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